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2006年7月29日 (土)

競争馬の生産、ユメロマン

競争馬の生産と言えば、あの静内農業高校ユメロマンにふれておきたいと思います。日本で唯一のサラブレットを生産そして育成している北海道の高校ですし、彼等の努力、若い力に敬意を表すると共に、彼らが追い求めている「夢」を少しでも応援してあげたい気持ちで一杯です。

05年2月13日、東京競馬場でデビューしたユメロマンが見事快勝!(6R芝1800m)快挙でしたね。高校生が生産・育成した競走馬がデビュー戦での優勝ですもんね。彼等はどんな思いでレースを見ていたのでしょうか。大きな拍手と歓声に包まれて感激の涙を流したことと思います。

2000年までは、アングロアラブ種(ケガや病気に強い)を生産していたようで、02年益田優駿3歳勝馬「牝馬・サントゥールワン」が同高の生産馬だそうです。そしてその後繁殖牝馬を探していたようですが、手に入ったのがサラブレットの「サクラトキメキ」でした。父は有馬記念、天皇賞・春のGⅠ馬「アンバーシャダイ」の良血。そして種牡馬として選ばれたのが、あの「ジェネラス」。函館記念を連覇したエリモハリアーがいますね。

そして誕生したのが「桜浪漫」と書いてユメロマンと読みます。

静内農業高校では、ユメロマンに続いて弟「サクラホウジュ・父ラムラタ」がホッカイドウ競馬で活躍、妹「サクラカレン・父アグネスデジタル」がまもなく中央でデビューを迎えます。

高校生の夢が羽ばたく競走馬の生産・育成。北海道ならではの話なのでしょうが、胸が熱くなりますね。卒業後の進路はそれぞれ別れる事になるのでしょうが、一緒に流した汗や涙は一生の宝になることでしょうね。

そのユメロマンが、明日30日新潟12Rに骨折明け7ヶ月ぶりに出走します。頑張れよ!

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2006年7月15日 (土)

競争馬生産の特徴2

先週は、競争馬の生産の日本における分布をメインに書きましたが、今週は牧場の状況に触れてみたいと思います。

欧米の牧場の特徴はオーナーブリーダー、日本の特徴はマーケットブリーダーを中心とした牧場にある」と耳にした事があるかと思います。単純に欧米と比較してもあまり意味がありませんが、なぜマーケットブリーダーの牧場かと言えば、前にも触れましたが日本・日高の場合は、圧倒的に家族経営を中心とした中小牧場が多いからです。

私が知っている日高の牧場も殆どが家族経営中心の「販売を目的として生産を行う」牧場ですね。日高の場合は農業から出発した道内個人資本で成立っている牧場が圧倒的に多いようです。チョット調べてみたのですが、北海道にもオーナーブリーダーとしての牧場もあります。この殆どが道外資本の牧場のようです。

メジロ牧場・オンワード牧場・トウショウ牧場・バンブー牧場等」ですが、冠名がつく牧場の方が分かり易いかも知れませんね。ヤマニンの錦岡牧場、タニノのカントリー牧場、イブキの北陽ファーム、ダイタクの雅牧場などがあります。

こうして書いていると、ある事に気づきました。それはやはり道外資本のオーナーブリーダーの牧場にはクラブ法人を経営している牧場がありませんね。

ただ、日高の牧場はマーケットブリーダーの牧場が圧倒的に多いのは変わりませんが、例の「BTC」が出来てからは、社台ファームやBRF以外に日高にも育成牧場が増えつつあります。自己生産馬を自己名義等の競争馬として使い、引退後は繁殖に使う目的にあるようです。この例で1番分かり易いのは、日高ではありませんが胆振の日本最大の企業牧場・社台グループとBRFですね。マーケットブリーダーとして成功し、且つオーナーブリーダーとしても成功しています。

今月10~12日に「セレクト2006」がノーザンホースパークで開催され、8年ぶりに1歳馬のセールそして当歳馬のセールが開催されましたが、サンデーサイレンスの亡き後の種牡馬の転換期を迎え注目されました。3日間の落札合計額は、目標100億円に対し117億円超とか。なにやらディープインパクトがこのセールから出たという効果もあったとか。。(メマイ)。。。。。でも落札率は70%、1頭平均は3500万円だそうです。キングハメハメハ産駒が人気を呼びましたが、6億円の牝馬落札には驚きました。どう考えても牝馬では回収できそうもない金額なのですがねぇ。

もっとも高額だから走る、勝つという保障もなく、近年では03年フサイチジャンク・リシャール、アドマイヤメイン、02年は1億以上の馬に活躍馬はいない。(7000万円のディープ)01年では、ダイワメジャー、ブラックタイド、そしてキングハメハメハも7800万円の馬。さて来週は1歳馬の「セレクションセール」が始まりますがどうなりますやら。。。

少し本題から外れてしまいましたが、私がいつも気にかけているのは、こうしたセールにかかることも少ない日高の個人(家族経営)牧場の生産馬たちです。どのようにして生産馬を販売するのかは次回書いてみたいと思います。

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2006年7月 8日 (土)

競走馬の生産の特徴

日本の競争馬生産の特徴の一つに、生産が北海道特に日高地方に集中されていることがあげられます。サラブレット自体皮膚が薄く暑さに弱いという面がありますが、これは競馬の発展と国際化が北海道・日高地方に特化を促したようです。

元々(戦前のようですが)から競争馬の生産が北海道に特化されていた訳ではなく、全国に分布されていたようです。現在の生産牧場はこのように分かれてしまったようです。

☆北海道・日高地方・・・全国の生産者の約7割、サラブレット生産頭数も約7割を占めています。以前は小規模な生産牧場が殆どでしたが、93年に浦河町にBTC(軽種馬育成調教センタ)が出来てから、産地育成の性格が変化し高度化したと言われています。

☆北海道・胆振地方・・・ここは生産者数は5%程度と少ないのですが、サラブレットの生産頭数は25%近くを占めています。ご存知社台ファームグループのような大牧場があり、高度な育成施設をもつ分場や支場が多いのが特徴です。

☆東北地方・・・戦前の東北地方は有数な馬産地帯でしたが、現在は青森、宮城、福島の太平洋沿岸に点在しています。かっては盛岡に名門小岩井農場が大きなウエイトを占めていたようですが、財閥解体令によりサラブレットの生産を中止した事が大きく影響しているようです。宮城県にはお馴染みの社台グループの山元トレセンがありますね。

☆関東地方・・・千葉、茨城、栃木に生産牧場があるようですが、今は中央競馬の美浦トレセンが近いせいか、競馬場の外厩的な感じで育成地域としての比重が高いようです。

☆関西地方・・・関西地方は生産牧場はなくなり、関東同様育成地域として滋賀の栗東が有名です。

☆九州地方・・・生産牧場は鹿児島、宮崎、熊本の3県に限られてしまいましたが、かっては「産地競馬」と言われるほどの生産を誇っていたようですが、激しい減少となったようです。

このように戦後、「優駿のふるさと日高」が誕生した訳ですが、競走馬経営には、広大な放牧地、採草地、馬場や生産・育成用地が必要ですので、北海道以外は都市化、地価高騰などのあおりを受けたようです。また競争馬の生産・育成には、生産資材・馬具・関連産業なども必要であり、そして種牡馬や繁殖牝馬など主産地北海道にどんどん集積されていったようです。世界的にはイギリスのニューマーケット、フランスのシャンツィイ、アイルランドのダブリン、アメリカのケンタッキーなどがサラブレットの集積地として有名ですが、世界一のサラブレットの集積地は北海道・日高地方と言われています。

その土台となったのは、ノーザンテーストそしてサンデーサイレンスに代表される名種牡馬を迎え、一大生産体制を築いた社台ファームグループの存在に他なりません。

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2006年7月 2日 (日)

サラブレットの歴史

例の「商品ファンド」の件で中々本題に入れませんでしたが、出資愛馬一口でも否応なしに制度上投資信託、賞金配当に魅力を感じている方・多数口に出資している方はある意味投資家かも知れません)と競馬(広義の意)は違います。今日からは、本来このプログが目指している競馬について書き留めておきます。

競馬を語るには、まずサラブレットの歴史から入ってみます。馬の品種は200以上あると言われていますが、大きくアラブ系とサラブレット系に分けてみます。その歴史は300年以上前にも遡り、イギリスに持ち込まれたアラビア産の馬とイギリスの在来種の配合から始まったと言われています。サラブレットの意味「完璧な血統」「公認の血統書」を指すようです。これは、競争用に改良に改良を重ねて現在の品種に継承されています。当時の「血統登録書」からは現在「ダーレーアラビアン」「バイアリーターク」「ゴドルフィンアラビアン」の3頭が継承されている、と物の本に書いてあります。

日高の牧場街道を車で走っていると「○○軽種馬」と書かれた看板を目にしますが、日本ではサラブレットとアングロアラブとを合わせてそう呼んでいるようです。現在はJRA殿はサラブレット系のみ、地方競馬殿で僅かにアラブ系の競争馬のレースがあるようです。(アラブ系レースとは、アラブ系の血統が25%以上有する競争馬を指します)

サラブレット系は本来、スピード・瞬発力に優れ、半面気性が激しく乗用に向いていないと言われてきましたが、アラブ系はスタミナに優れ、スピードでは劣るとされてきましたが、前述したとおり配合による品種改良で、現在の競争馬へその血統が脈々と受け継がれてきています。

現在JRAではサラブレット系のレースしか行われていませんが、そのサラブレットを競争馬として出走させるために、何段階にも及ぶ育成(調教とは違います)が必要となります。サラブレットの育成には、生産から離乳(当歳10ヶ月位まで)、離乳から騎乗馴致1歳秋位まで・・・一口出資募集時期)を徹底的に仕込まれます。

現在、日本各地(8割北海道)で8千頭強のサラブレットが生産されていますが、どんな形であれ登録されるのは内6千頭強。つまり約2千頭位が未販売、又は育成過程の事故などで未登録のまま終わると言う事です。登録馬は内中央が45%地方が55%。更に中央登録後も出走が出来る確率は60%程度。もっと言えば勝ち上がれる確率は出走馬の60%と言われていますので、いかにサラブレットの生産牧場(主に個人)の厳しい現実と馬主が背負うリスクが大きい事を良く理解しておきたいものです。  

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